Laboratory Practice 〈血液〉
室温の赤沈への影響
近藤 弘
1
,
佐藤 陽子
1
,
巽 典之
2
1大東文化大学 スポーツ・健康科学部
2大阪市立大学
pp.286-289
発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102399
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はじめに
赤血球沈降速度(以下,赤沈)は血沈とも呼ばれ,古くから用いられてきた炎症マーカーの一つであり,慢性炎症性疾患の診断などに利用されている.赤沈は赤血球の数と形態,およびγグロブリン,フィブリノゲン,アルブミンなどの血漿蛋白質成分の影響を受けるため,これらの増減を間接的にとらえることで病態を知ることができる.特異性には欠けるが,関節リウマチや結核症などの活動度判定に安価で実施できる有用な検査法である.
測定法は,国際血液学標準化委員会(International Council for Standardization in Heamatology,ICSH)が1973年にウエスターグレン(Westergren)法(1時間法)を国際標準法とし,その後1977年に改訂された方法がわが国では用手法として広く普及している.
その後,ICSHはエチレンジアミン四酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid,EDTA)で抗凝固した非希釈血を使用する基準法(reference method),非希釈血を使用し実用測定法の検証や精度管理に使用する標準法(standardised method),希釈または未希釈血液を用いて,自動赤沈測定をも含むルーチン使用を視野に入れた選定法(selected method)を1993年に勧告した1).
赤沈測定法は簡便だが,多くの人為誤差要因が存在する.本稿では,測定法の概要ならびに室温の赤沈への影響について,自験データをもとに解説するとともに,そのほかの変動要因についても触れる.
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