技術講座 病理
分子標的治療に関連した免疫組織化学解析技術
谷 洋一
1
1研究開発・パソロジー研究所株式会社
pp.1325-1330
発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102293
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新しい知見
分子標的治療とは,癌細胞の増殖にかかわる蛋白分子を標的とした最新の治療法である.他の抗癌剤に比較して副作用が少なく,また従来の治療法が効かない癌にも驚くほどの高い治療効果を発揮している.分子標的治療薬はHER2を標的にした乳癌の治療薬ハーセプチン(R)に代表されるモノクローナル抗体(ヒト化抗体,キメラ抗体)を使用した抗体薬と1),KITを標的とした消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor,GIST)の治療薬であるグリベック(R)のような細胞シグナル伝達活性を抑制する小分子チロシンキナーゼ阻害薬に大別される2).分子標的治療の効果を予測するために,治療前に患者腫瘍組織中に存在する標的分子を免疫組織化学的に解析することが必要とされる3).
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