Laboratory Practice 〈一般●精度管理・2〉
便検査(潜血)の精度管理
岡田 茂治
1
,
小池 真由美
1
,
澁澤 幸枝
1
,
西田 俊朗
1
1埼玉県立循環器・呼吸器病センター検査技術部
pp.648-652
発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102128
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はじめに
日常使用されている便潜血検査とは,化学法,免疫法いずれにも使用されている便中ヘモグロビン検査の呼称である.しかし両法は測定原理,測定精度,検査対象などにおいて大きく異なり,本来別名で称する必要がある.本稿では化学法を原理とするテトラメチルベンジジン法,グアヤック法などを便潜血化学法,抗ヒトヘモグロビン抗体を用いた免疫学的検査法を便ヘモグロビン検査法(以下,便Hb検査)とする.
便潜血化学法と便Hb検査は他の臨床検査項目のように十分な日常精度管理,コントロールサーベイが行われておらず,標準化も進んでいない.大腸がん検診で実施されている便Hb検査は,非侵襲で多検体処理に適するコストパフォーマンスに優れた1次スクリーニング検査として実施され,精査検査(全大腸内視鏡検査など)への重要な振り分け検査となる.しかも,便Hb検査の大腸がんに対する検査診断精度はがん発見率に大きく影響する.つまり,便Hb検査は大腸がん検診システム全体の有用性を大きく左右する重要な役割を担っており,社会的責任の大きな検査である.本稿では改めて便Hb検査における日常精度管理法実施の必要性を考えたい.
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