疾患と検査値の推移
クッシング症候群とコルチゾール
小田桐 恵美
1
1東京女子医科大学病院中央検査部臨床検査科
pp.240-245
発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102018
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概念
クッシング(Cushing)症候群はグルココルチコイド,特にコルチゾールの慢性過剰によって引き起こされる病態である.副腎から分泌されるコルチゾールは下垂体の副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone,ACTH)の支配を受け,ACTHは視床下部の副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(corticotropin-releasing hormone,CRH)の支配を受ける.コルチゾール-ACTH-CRHの間にはネガティブフィードバック(negative feedback)機構が働いているため,コルチゾール過剰状態ではACTH,CRHは抑制される(図1).クッシング症候群は,①下垂体ACTH産生腺腫(クッシング病),②副腎コルチゾール産生腺腫,③異所性ACTH産生腫瘍,④医原性(グルココルチコイド過剰投与),などにより引き起こされるために鑑別診断が必要となる.鑑別診断で行われる負荷試験はコルチゾール-ACTH-CRHのネガティブフィードバック機構を応用したものが多い1,2).
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