疾患と検査値の推移
全身性エリテマトーデスの診療における臨床検査の意義
池田 啓
1
1千葉大学医学部アレルギー・膠原病内科
pp.1348-1353
発行日 2007年11月1日
Published Date 2007/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101908
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus,SLE)は多様な症状および臓器病変を特徴とする全身性自己免疫性疾患である.わが国では人口10万人に対して7~8人の発症率であり,10代後半より40代の女性に好発する.病因は明らかではないが,複数の遺伝的素因にさまざまな要因(日光,ウイルス感染,ホルモン,ストレス,薬剤など)が加わり発症すると考えられている.近年型インターフェロンとSLEの病態とのかかわりが明らかにされ1~3),複雑なSLEの病態が徐々に解明されつつある.
SLEの発症様式および臓器病変は多岐にわたり,症状は無症候性のものから痙攣といった劇的な発症様式をとるものまで,臓器病変は特異病変を示さず発熱などの全身症状のみのものから急速に多臓器不全をきたすものまでさまざまである.典型例では発熱,惓怠感といった全身症状に加え,皮膚,粘膜,関節症状を呈し,好発する臓器病変としては血液,腎,中枢神経,漿膜などが挙げられる.迅速な診断および適切な治療を行うためには,これらの多彩な病態の把握が必要であり,そのためには詳細な問診,身体所見に加えてさまざまな他覚的検査を組み合わせることが重要である.免疫異常がその病態に大きくかかわっているSLEでは,特に適切な血液検査の施行が診断に必須であり,また治療による修飾,感染症などの合併症を除外し,その病勢を正確に評価するためには,経時的な血液尿検査の施行,解読が必要とされる.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.