増刊号 メタボリックシンドローム健診検査技術マニュアル
各論
1. 検査前手順 1) 生理的変動,サンプリング,試料の取り扱い (3) AST,ALT,γ-GT
河口 勝憲
1
,
市原 清志
2
1川崎医科大学附属病院中央検査部
2山口大学大学院医学系研究科保健学専攻生態情報検査学
pp.1133-1140
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101882
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生理的変動―個体間変動
1 . 性差・年齢別変動
AST(aspartate aminotransferase)は男性が女性より少し高値の傾向を認める.筆者らが大規模な住民検診結果から,潜在異常値除外法で求めた性別・年齢別基準範囲の図から見ると,成人では男女とも40歳以降緩やかに漸増するが,女性でややその傾向が強い(「総論」1062-1075頁).ALT(alanine aminotransferase)は,男性で明瞭に高いが,これは後述の食習慣や飲酒習慣の違いによるところが大きい.加齢変化は男性では20歳から50歳後半をピークにやや上昇し,女性では中高年で上昇する.ただし,高齢者では男女ともやや低下する.γ-GT(γ-glutamyl transferase)は,ALT同様の要因により男性で明瞭に高い.加齢により男女とも緩やかに漸増するが,男性では50歳以降,女性では70歳以降に緩やかに低下する.この結果70歳以降では男女差はかなり狭まる(図1).
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