Laboratory Practice 〈病理●癌取扱い規約の解説と問題点・8〉
胃癌取扱い規約
加藤 洋
1,2
1獨協医科大学日光医療センター
2(財)癌研究会癌研究所病理部
pp.784-790
発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101801
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はじめに
『胃癌取扱い規約』は,すべての癌取扱い規約(25以上存在する)の先頭を切って1962年に作成された.すなわち,『胃癌取扱い規約』はすべての規約の兄貴分である.今日までに,第13版(1999年6月)まで出版されており,2009年には第14版が出版される予定である.
規約の最終目的は,多数施設からの多数症例(登録例)に基づく,信頼性の高い臨床病理データや手術成績を出すこと,さらに施設間のデータ比較を確実・容易にすることにある.そのために,手術方法,検索方法,所見の判定法,成績の算出法などの基準・記載法を統一する必要があり,規約の直接目的はここにある.けだし,胃癌治療法は,初版が発刊されてからの45年間に,早期癌に対しては内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection,EMR)・内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection,ESD)と呼ばれる内視鏡摘除術が開発され,一方,進行癌に対しても化学療法が進歩し,規約内容は大きく変貌した.また,基準・記載法は,できるだけ単純であるべきであり,かつ,ほかの癌規約,特に『大腸癌取扱い規約』や『食道癌取扱い規約』との整合性をも考慮しなくてはならず,種々の工夫がなされてきている.
本稿では現行の第13版に基づき,特に病理に関して解説し問題点を挙げる.
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