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はじめに
網赤血球(reticulocyte,RET)数算定は,骨髄中の赤血球産性能を反映する重要な検査である.従来一般に用いられていた視算法は,未固定の状態の赤血球をブリリアントクレシル青やニューメチレン青(new methylene blue,NMB)などの塩基性色素で超生体染色し,顕微鏡下でRNA(ribonucleic acid,リボ核酸)との複合体である顆粒状または網状の構造物がみられる網赤血球を数えたが,精度に限界があり自動化が望まれていた.1988年,わが国で自動網赤血球数測定装置R-1000(シスメックス社)1)が開発され,これにより全血で網赤血球を直接測定でき,多数の検体処理が可能となり精度も向上した.その後,総合血液自動分析装置に網赤血球測定機能が搭載され,CBCと同時測定が可能となり従来視算法では手技の煩雑さから普及しなかった未熟網赤血球分画(immature reticulocyte fraction,IRF)も迅速簡便に同時測定ができるようになった.多項目自動血球分析装置XE-2100(シスメックス社)のRETチャンネルでは網赤血球と血小板が測定されるが,アップグレードソフトウエアXE IPF master(シスメックス社)のインストールにより,RETスキャッタグラム上にある血小板領域の幼若血小板比率(immature platelet fraction,IPF)が求められる.また,XE RET master(シスメックス社)を導入することで,成熟途中の赤血球における鉄の状態を反映していると考えられる網赤血球ヘモグロビン量(reticulocyte-hemoglobin,RET-He),破砕赤血球(fragmented red cells,FRC)の指標としてRETチャンネルの赤血球領域と血小板領域に破砕赤血球領域を設け,FRC#とFRC%の算出も可能となった.
ここではRET自動測定における測定過誤例,IRFおよび幼若な血小板について述べる.
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