Laboratory Practice 〈血液●採血の現況と問題点・2〉
採血手技の実際
大西 宏明
1
1杏林大学医学部臨床検査医学
pp.791-795
発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101802
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はじめに
これまでわが国には標準採血法のガイドラインが存在せず,採血は基本的には各施設あるいは各個人の経験に基づいて行われていた.臨床検査技師向けの教科書には,採血手順についてそれぞれ短い記述がなされることはあったが,それらの記載は統一されていなかったのが実情である.しかしながら,採血には表1に挙げたようなさまざまな合併症が知られており,不適切な手技によってはこれらが問題となる場合もありうる.一方,誤った採血手技により,検査データにもさまざまな誤差が生じうることも知られている.日本臨床検査標準協議会(Japanese Committee for Clinical Laboratory Standards,JCCLS)では,このような状況に対応すべく,2004年3月に標準採血法検討委員会を設置し,同年7月にわが国で初めて標準採血法のガイドラインをTentative Guideline(試案)の形で発行した1).その後,関連各方面から寄せられた意見・疑問や,政府による新たな規制,および近年発売された新たな採血用器具などに対応した内容を盛り込んだApproved Guideline(成案)も2006年11月に発行された.本稿ではこのガイドラインに基づき,具体的な採血法の手順とその技術について述べる.
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