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血糖値を下げる蛋白質TFE3
中川 嘉
1
,
島野 仁
2
1筑波大学大学院人間総合科学研究科診断生化学
2筑波大学附属病院内分泌代謝・糖尿病内科
pp.710-715
発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101785
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はじめに
肝臓におけるインスリン感受性は,メタボリックシンドローム,特に糖尿病における病態形成において極めて重要である.インスリンの肝臓におけるエネルギー代謝への関与は大きい.特に糖新生の抑制をはじめとする糖代謝へもたらす影響は大きく,血糖値の恒常性に深く関与している.そのため,肝臓でのインスリンシグナル分子の機能不全がインスリン抵抗性を引き起こし,糖尿病を発症することが知られている.transcription factor binding to IGHM enhancer3(TFE3)はインスリンシグナルを調節する新たに同定された転写因子である.TFE3はインスリンシグナルの調節因子であるinsulin receptor substrate-2(IRS-2)の発現を制御し,インスリンシグナルを増強する.また,糖代謝に関与する遺伝子の発現を制御することでグルコース代謝をも制御する.これらの効果からTFE3は血糖値を制御し,糖尿病病態を改善する.
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