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切り出し方法などの問題点
現在,われわれは肺癌取扱い規約1)にあるTNM分類と肺癌手術記載を参考にして,組織分類に基づいて手術材料に関する病理組織診断を記述している.これは生検を除く検体が原則的には定型的肺葉切除(ときに肺全摘術)により得られた一葉以上の肺と系統的に郭清された縦隔リンパ節組織を材料とすることを基本としている.近年,CTの発達に伴ってground glass opacity(GGO)を含む小型肺癌が多く発見されるようになってきた.野口らは肺胞上皮置換性増殖をするType A,Bは5年生存率が100%であることを示した2).GGOはbronchioloalveolar carcinoma(BAC)を反映するとしており3),pure GGOと呼ばれる病変は野口分類Type Aであることが多いことから,近年,pure GGOやGGOを多く含む病変に対しては区域切除や部分切除が積極的に試みられるようになってきた.定型的肺葉切除されたものに対する病理診断の記載と部分切除ないし区域切除された場合の病理診断とでは,切り出しの方法,記載の内容など必ずしも同じというわけではないが,この点が現行の取扱い規約では明記されていない.肺葉切除の場合,通常,気管支断端からホルマリンを経気道的に注入し肺を拡張させ固定する.そして,一般的にはCT画像と同様に水平断に約5mm幅で割を入れ,腫瘍径を計測し,切除気管支断端を採取し,関与気管支・関与血管を同定した後,病理標本を作製する.そして組織型,気管支断端,切除断端,胸膜浸潤,脈管侵襲,リンパ節転移について腫瘍の有無を診断していく.しかし,縮小手術目的の部分切除または区域切除での標本の取り扱いは肺葉切除の場合と同様にはできない.表にその問題点を示す.
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