臨床医からの質問に答える
腎機能検査としてのクレアチニンクリアランスとcystatin C測定の特徴
佐藤 弘恵
1
,
風間 順一郎
1
,
下条 文武
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科腎・膠原病内科学分野
pp.394-397
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101692
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■背景
腎臓は多様な機能をもつ臓器であるが,一般に腎機能と呼ぶ場合は糸球体濾過量(glomerular filtration rate,GFR)を意味することが多い.GFRは一定の時間に糸球体から濾過される血漿量であり,血漿中に一定の割合で分布し糸球体で自由に濾過されるが尿細管で分泌も再吸収もされない溶質のクリアランスにより求められる.国際的なgold standardは外因物質であるイヌリンを用いる方法だが,侵襲的で時間がかかるという面で日常診療に用いにくい.現在,最も頻用されているのが,内因性物質であるクレアチニンを用いた24時間クレアチニンクリアランス(creatinine clearance,Ccr)である.しかしクレアチニンは近位尿細管で15%ほどが分泌されるため,実際のGFRより過大に算出されることが指摘されている.また,24時間にわたる蓄尿を要することから,頻回に行うことは困難であるとともに,寝たきり患者や麻痺のある患者などでは採尿自体が不正確になりやすい.
血清クレアチニン値は外来診療で腎機能の指標として広く受け入れられているが,筋肉量,食事,性別,年齢などの影響を受け,またGFRがある程度まで低下しないと血清クレアチニン値は上昇せず,いわゆる“creatinine blind range”が存在する.さらにその測定方法にJaffe法と酵素法の2種類があり,0.2mg/dlほど差があることも問題である.
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