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小児CREの腎機能検査としての意義
血清クレアチニン(creatinine,CRE)は筋肉で生成され腎臓から終末代謝物として体外に排出される.この際糸球体で大部分が濾過され,尿細管で再吸収や分泌が少ないことから腎臓の濾過機能の指標となる.つまり血清CRE値は腎機能が低下すると尿中に排泄されずに血中に蓄積し高値となり,腎機能検査として汎用されている.
血清CRE値が高値となる疾患として腎不全,急性糸球体腎炎,尿毒症があり,低値となる疾患は筋ジストロフィー,尿崩症がある.血清CRE濃度は筋肉量に比例するので,小児期では低く成長とともに成人の濃度に近づく.一般的に出生直後は母親の血清CREと一致し0.6~0.7mg/dl程度であるが,数日以内に本人の腎機能(成人の1/3程度)を示す値である0.4mg/dlとなって安定する.以降腎機能の発達とともに生後6か月で0.15mg/dlまで低下し,筋肉の発達に伴い上昇し1歳で0.2mg/dl,10歳で0.4mg/dl,思春期以降急激に上昇して成人の値0.6~1.0mg/dlになる.また,CRE値と腎機能の関係は反比例する.例えば血清CREの基準値は0.20mg/dlと考えられる1歳児の場合,CRE値が0.30mg/dlに上昇したとすれば腎機能は67%に低下したことになる.CRE値が1.0mg/dlになった場合は腎機能が20%にまで低下したことになり,1歳児の血清CRE値1.0mg/dlは大人の基準値では正常であるが,透析の対象となるパニック値に限りなく近い結果となる.すなわち小児期の血清CRE値は成人よりはるかに低く,また,わずかな変動も腎機能の変化を表す.このため血清CREには高い測定精度と適した基準値が求められる.
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