技術講座 一般
異型細胞を中心とした胸水,腹水,心囊水の細胞の見方
稲垣 清剛
1
1JA愛知厚生連安城更生病院臨床検査技術科
pp.343-349
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101675
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新しい知見
一般検査での胸水,腹水,心囊水の細胞の見方について,新しい知見として特に挙げるものはない.ただ,筆者がこれまで多くの検体数を手がけてきたなかで判明したこととして,中皮細胞も病態によって活動的になると稀に好中球を細胞質に取り込むことがあり,ひいてはその形態像が腫瘍細胞との鑑別に役立つということである.また,検体の外観性状で血性について,腹水よりも胸水のほうが割合が多く,検査依頼検体のなかで胸水45.5%,腹水31.3%にみられる.一方,血性検体と腫瘍性疾患との関係では,血性検体は腫瘍を認めた検体のほうが非腫瘍性検体より約5%程度ほど多かった.すなわち,腫瘍細胞を認めた検体について血性と非血性を調査したところ,血性検体は胸水48.2%,腹水34.2%であった.逆に,腫瘍細胞を認めなかったものについては,それぞれ42.8%と28.5%を示した1).
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