増刊号 包括医療と臨床検査
第1章 総論―包括医療とは
1.包括医療の概念
1)日本の医療経済
河合 忠
1
1国際臨床病理センター
pp.867-872
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101534
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はじめに
人間社会の歩みは3つの大きな波に譬たとえられている.第一の波は長く続いた農業社会,第二の波は欧州で起こった産業革命以後の近代化を突き進んだ産業社会,そして第三の波は20世紀の終わりから始まった産業文明に対する反省と反発から,集団の時代から個人をより尊重する時代であり,21世紀に入ってその波はさらに大きくなりつつある.まさに人間社会にとって大きな転機に突入しているが,医療の分野も例外ではない.
わが国における医療の変革にインパクトを与えている主な要因としては,①急速な少子高齢化,②低迷する経済状況,③医療技術の進歩,および④国民の意識の変化が挙げられる(図1).
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