検査じょうほう室 生化学:おさえておきたい生化学の知識
市販漢方強心薬にご注意!
伏見 了
1
1大阪大学医学部附属病院手術部
pp.821-823
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101518
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はじめに
現在,すべての臨床検査は患者の診断,処置および治療において必要不可欠となっているが,これは検査の正確性や精度の向上に尽力された幾多の先人の努力の賜物であり,また試薬や装置の開発や改良に取り組んできた関連企業の方々の功績によるものである.
臨床検査は総合科学に基づく学問であり医学,薬学,生物学,免疫学,電気化学および精密工学などの最新知識の集合体として構成されているが,生化学検査の場合には検査対象が約7g/100mlもの高濃度の蛋白質を含む血清であり,さらに,構造の類似した物質も多数存在する中から特定の物質だけを正確に測定するのはかなり困難なことである.そして,日本国内に限ってもそれぞれの地域で独特の生活習慣や食習慣が存在しており,これらの要因と臨床検査成績とのかかわりを解析することも非常に難しいことと思われる.これに加えて,毎年多くの薬剤が認可され患者に投与されているが,これらの薬剤が使用されているすべての測定法に対して影響があるか否かも当然であるが確認できない.
臨床検査はかなり成熟した学問であるが,このような背景から「摩訶不思議な検査成績」が突然現れる危険性が潜在しており,本稿においてその1例を紹介する.
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