病気のはなし
Helicobacter pylori 感染症
工藤 洋子
1
,
沖本 忠義
1
,
藤岡 利生
1
1大分大学医学部総合診療部
pp.12-16
発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101211
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サマリー
Helicobacter pyloriは微好気性グラム陰性(Gram negative)桿菌で,強いウレアーゼ活性をもつことによりヒトの胃粘膜に感染する.持続感染しながらも症状が現れない健康保菌者がいる一方,萎縮性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの炎症性疾患を引き起こすことがわかっている.また,胃癌や胃MALTリンパ腫との関連も報告されている.感染診断法としては内視鏡検査を必要とする侵襲的検査法と,必要としない非侵襲的検査法に分類される.それぞれの検査法には長所や短所があるので,その特徴を理解したうえで選択することが重要である.治療は酸分泌抑制剤であるプロトンポンプ阻害剤と抗菌剤による除菌治療が主であり,除菌を行うことによって繰り返される潰瘍再発を予防することができる.しかし,近年では薬剤耐性による除菌率の低下が報告されており問題となってきている.
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