Laboratory Practice 〈病理●癌取扱い規約の解説と問題点・2〉
「大腸癌取扱い規約」の主な改正点
八尾 隆史
1
1九州大学大学院・医学研究室・形態機能病理
pp.143-146
発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101194
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はじめに
大腸癌の進行度分類は世界的にはUICC(Union Internationale Contre le Cancer,国際対癌連合)のTNM分類が用いられており,わが国の大腸癌取扱い規約の分類法とは特にリンパ節転移と進行度における相違があった.
わが国の大腸癌取扱い規約の概念を損なうことなく,TNMとの整合性を図る必要があった.今回の改訂では,略語,記号,組織分類など記載法は消化管癌である食道,胃,大腸との統一を図ることも念頭に置き,共通する部分は統一するようにしてきた.例えば,記載法の原則として深達度など小文字で表記していたものを大文字に変更したり,臨床所見(clinical findings),術中所見(surgical findings),病理所見(pathological findings),総合所見(final findings)をそれらの頭文字c,s,p,fを付けて記載するなど,胃癌の規約に準ずるようになった.逆に,剝離断端(ewからRMへ)や内視鏡切除水平断端(従来の大腸ではm-ceがLMでなくHMへ)などが胃癌の規約にもない記号に変更されたのは,略語の元となる英語表現を再検討した結果,慣習的に用いられていた用語が必ずしも適切でなかったためである.さらに,断端の判定など(+),(-)としていたものが(+)は1,(-)は0,不明なものはXとされた点もマイナーチェンジである.ly,vも1,0のみに変更することが討論されたが,これまでと同様に0~3の段階評価が採用された.
以下,今回の改訂で変更された要点について解説するが,誌面が限られているので,詳細は規約を読んでいただきたい.
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