増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
5.感染症検査
8 尿中レジオネラ抗原
渋谷 理恵
1
,
舘田 一博
1
1東邦大学医学部微生物・感染症学講座
pp.1263-1265
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101106
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はじめに
レジオネラ症は,レジオネラ属菌〔主にLegionella(L.)pneumophila〕に汚染されたクーリングタワー,噴水,温泉・循環式浴槽などのエアロゾルを吸入することにより発症する.本菌は細胞内寄生菌であることから,β-ラクタム薬やアミノグリコシド薬などの細胞内移行性が低い抗菌薬は無効である.レジオネラ属細菌は通常ルチンで使用される培地には発育しないことからその診断は困難であり,基礎疾患を有する宿主における本症の死亡率は20~30%と依然として高い.
近年,ELISA法(enzyme-linked immunosorbent assay method)とともに免疫クロマト法による尿中抗原検査が保険収載となり,レジオネラ症の迅速診断法として身近な存在になってきた.ただし,レジオネラ尿中抗原検査法にはいくつかの改善点・問題点も知られていることから,本法を有効に活用するためにはその長所と短所について熟知しておく必要がある.
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