増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
5.感染症検査
7 抗クラミジア・ニューモニエ IgM抗体
岸本 寿男
1
,
安藤 秀二
1
1国立感染症研究所ウイルス第一部
pp.1261-1262
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101105
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はじめに
肺炎クラミジア(Chlamydophila pneumoniae以下,C. pneumoniae)は,ヒトを宿主として飛沫感染し,急性上・下気道感染症,また慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease,COPD)を主とする慢性呼吸器疾患の感染増悪を起こし,市中肺炎の約一割に関与することが知られている.時に集団発生があり,本邦でも家族内感染や幼稚園,小中学校,高齢者施設などにおける集団発生が報告されている.診断において,分離,抗原検出,遺伝子検出などの病原体検出は一般的でなく,血清診断が主に用いられている.血清診断には,種特異抗体を検出できる測定法として,micro immuofluorescence test(micro-IF法)が標準法とされる.しかし,キットがなく抗原作製が繁雑で大量の検体には不向きであり,判定も熟練を要するため,限られた施設で実験室診断として行われる.本邦で開発されたELISAによる抗体測定キット(ヒタザイムC.ニューモニエ)が,保険適応での臨床応用が認可されている.いずれもIgG,A,Mが測定可能であるが,IgMは特に急性感染を示唆する抗体として診断的意義が高いとされる.
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