連載 失敗から学び磨く検査技術 病理標本作製法
細胞診のアーティファクト―検体採取,塗抹,固定に由来するアーティファクト―検体放置による細胞融解
阿部 仁
1
1慶應義塾大学医学部病理学教室
pp.848-850
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101000
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ヘマトキシリンに薄く無構造に染色されているのは核なのかな,ほかのものなのかな.判別し難い標本だが,どうしてこうなったのだろうか.
図1のパパニコロウ染色(Papanicolaou stain)でヘマトキシリンに薄く染色されているのは細胞の核である.核内のクロマチン構造が不明瞭で細胞質も消失しており細胞起源の判定は困難である.また,背景の好中球は分糸部が不鮮明となりリンパ球とともに丸く収縮している.矢印(↑)は細胞集塊なのだろうか.
図2,3に見られる腺癌細胞では,核クロマチンの融解化に伴い核内が明るく抜けて見える.細胞質が薄くピンク色に染色されているが,粘液だろうか.
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