どうする?パニック値 生化学
10.血中クレアチニン濃度異常値
菊池 春人
1
1慶應義塾大学医学部中央臨床検査部
pp.786-788
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100981
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クレアチニンがパニック値となる病態は腎不全(腎糸球体濾過量の著しい減少)であり,速やかな対応が必要となる場合も多い.本稿ではクレアチニンパニック値についての検査側での対応法,あるいは担当医に連絡を取る際に知っておくとスムーズにいくと思われる点について述べてみたい.
当院の基準
われわれの検査部では,パニック値に関する診療側への連絡は臨床検査相談室(以下,相談室)を通じて行っている.パニック値はまず,分析担当者が発見することになるが,分析担当者から相談室に連絡する基準としては,前回データのない場合5mg/dl以上としている.相談室では,依頼元,他の検査の状況など含めて総合的に判断し,担当医がいまだ腎障害を把握しておらず,すぐには検査結果を参照しない可能性があると判断した場合に担当医に連絡を取っているので,必ずしも分析担当者からのパニック値をすべて連絡しているわけではない.これは,異常値が担当医にわかり切っていると考えられる場合の連絡はかえって手間をとらせるだけという考えによる(ただし,連絡すべきか悩んだときには連絡することにしている).
なお,現在は臨床検査自動化学会の極端値・パニック値対応マニュアル1)がパニック値の一般的なスタンダードと思われるが,これによると,パニック値は急性の場合3mg/dl,慢性の場合8mg/dlとされている.
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