病気のはなし
大腸癌
小野里 航
1
,
中村 隆俊
1
,
井原 厚
1
,
渡邊 昌彦
1
1北里大学医学部外科
pp.622-629
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100937
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サマリー
大腸癌は結腸癌と直腸癌とに分類される.食生活や生活様式の欧米化に伴い,わが国の大腸癌の罹患率,死亡率は年々上昇している.病因としては腺腫から癌になる腺腫・癌相関(adenoma-carcinoma sequence)という多段階発癌モデルが有名である.好発年齢は男女とも60歳代が最も多く,男性に多い傾向がある.好発部位は直腸が全体の約1/3を,結腸のうちではS状結腸が最も多く全体の約1/4を占める.肉眼的形態は0~5型の6種類に分類され,2型が最も多く全体の約2/3を占める.組織学的には腺癌が最も多く,なかでも分化型(高分化腺癌,中分化腺癌)がその大部分を占める.診断としては免疫学的便潜血検査がスクリーニングとして用いられ,精密検査として注腸造影検査,大腸内視鏡検査などが行われ,組織検査により診断が確定される.治療としては,早期癌には内視鏡治療が選択されるが,内視鏡治療ができないものには手術(開腹・腹腔鏡下)が行われる.さらに病期に応じては化学療法や放射線治療などが追加される.予後は他の消化器癌に比べ比較的良好であり,全体の5年生存率は約70%である.
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