増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣
第2章 血液 骨髄塗抹標本の見かた
6.異常細胞の見かた
4)巨核球系の異常(2)形態異常
大畑 雅彦
1
1静岡赤十字病院検査部第2課
pp.1121-1127
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100804
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形態学的所見(図1-a,b)
他院にて特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura,ITP)と診断され脾摘を受けるが無効であった17歳の男性.小学校ごろより聴力障害(感音性難聴)があった.
末梢血には赤血球と同等サイズ以上のいわゆる巨大血小板がみられ,成熟好中球にはデーレ(Dohle)様封入体が認められた.骨髄像では顆粒球系細胞(図1-a)に,末梢血と同様の封入体が存在している.封入体の位置は細胞の辺縁に位置することが多く,形状や明瞭性はさまざまであった.図1-bには巨核球を示した.しかし,通常一般的に見る巨核球に比し,細胞質の顆粒の分布状態から顆粒産生巨核球まで成熟しているのにもかかわらず,“好塩基性の斑(マダラ)”が存在する.筆者はこの模様を“トラ斑模様”と呼んでいる1).このように顆粒球系細胞と巨核球に形態学的異常が観察された症例が今回のテーマである.
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