増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣
序
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.879
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100735
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細胞診断,血液診断および尿沈渣診断はいずれも高度な形態学的診断能力を要求される検査です.本増刊号は連載「Laboratory Practice」の病理『細胞診でここまでわかる』(2000年4月号~2004年3月号),血液『骨髄塗抹標本の見かた』(2000年1月号~2004年1月号)そして2000年1月号から2001年12月号までの2年間にわたり本誌の表紙を飾った『今月の表紙―尿沈渣』を一冊にまとめたものです.各号それぞれ,疾患の具体的な解説に加えて厳選されたきれいな画像を添えることを基本として,必要に応じて疾患概念や知識のまとめを概説したものでしたが,このような充実した内容であったことが再認識され,執筆者全員に改めて敬意を表したい気持ちと同時に,系統的に再構成されて参考書あるいは教科書ともいえる出来栄えに仕上がったことにわれわれ編集委員一同,一種の達成感を感じています.
わが国の細胞診断は国際的な流れと異なり,依然パパニコロウ分類に準拠したクラス分類を行っています.このような現状にあって,もっとも大切なことは推定組織診断を明記することや臨床診断にとって有意義なコメントを併記することであると思われます.そのためにも臨床的知識や病態の理解が必要とされます.そして細胞診断経験を確実にするために,生検や手術検体の組織診断を確認することによって絶えず細胞診断能力にフィードバックをすることも必要と考えます.
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