Laboratory Practice 病理 細胞像からここまでわかる
尿(5) 腎癌
堀内 啓
1
,
伊藤 光洋
1
,
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.136-138
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100572
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腎癌の好発年齢は50歳台であり,男女比は1.6:1である.最も重要な危険因子は喫煙である.多くの腫瘍は染色体異常を示し,淡明細胞型では3番染色体の異常が多い.フォンヒッペル-リンダウ病(von Hippel-Lindau disease)では,高率に腎癌を合併することが知られている.腎癌は無症状のまま長期間潜伏し,進行すると血尿や腰背部痛を来す.発熱,体重減少,悪心,倦怠感などの非特異的な全身症状もしばしばみられる.血沈の亢進がみられることもある.腎癌は時に生理活性物質を産生し,エリスロポイエチン産生に起因する多血症や,PTHrP産生による高カルシウム血症を随伴することがある.
腎癌の病理学的分類は,日本の癌取り扱い規約では,腎細胞癌と集合管癌とに大別され,腎細胞癌はさらに淡明細胞癌,顆粒細胞癌,嫌色素細胞癌,紡錘細胞癌,嚢胞随伴性腎細胞癌,乳頭状腎細胞癌に分類される.
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