増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣
第1章 病理 細胞像からここまでわかる
6.尿
3)移行上皮癌
堀内 啓
1
,
伊藤 光洋
1
,
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.1010-1014
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100776
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
尿路系悪性腫瘍の大部分は移行上皮癌であり,膀胱癌では90%を占める.移行上皮癌は中高年以降に好発し,男性に発生する頻度が高い.初発症状は,血尿,排尿障害などである.移行上皮癌のリスク因子には,アニリン色素やフェナセチン・ベンチジンなどの化学物質への曝露,喫煙などがある.サイクロフォスファマイドやブスルファンなどの抗癌剤も危険因子である.
移行上皮癌はしばしば多中心性の発育を示す.これは癌原物質への曝露により,尿路系全体が前癌性変化から癌へと向かう過程をたどっているという考えを支持するもので,このような現象を“field change(field cancerization)”という.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.