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同定できない真菌を検出したときの対応(後編)―集落観察法と顕微鏡標本作製法
西村 和子
1
1千葉大学真菌医学研究センター
pp.343
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100393
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前編では,臨床検体から培養されるカビの菌種同定には分生子,胞子囊胞子などの形態と形成状態の観察が重要で,これら無性胞子をなるべく早く豊富に形成させる培養法について述べた.今回は集落観察法と標本作製法とについて述べる.
集落の直接鏡検
顕微鏡標本を作る前に,原因菌種が疑われる集落を観察する.分生子や胞子囊胞子が豊富に産生されている集落であれば,色調,菌糸の組成(菌苔がビロード状,羊毛状,粉状,綿状,クモの巣状など)の組み合わせで,ごく大雑把に菌群を仕分けることができる.実体顕微鏡,ない場合は大型ルーペで集落表面を観察すると,例えばアオカビの場合,円筒形の分生子頭を認めればAspergillus属菌であり病原菌種はA. fumigatus,A. flavus,A. nidulansに限られてくる.この3菌種は菌糸体の構造と色調とが微妙に違うので鑑別できる.分生子頭がばらけていればPenicillium属菌である.
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