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JCCLS(Japanese Committee for Clinical Laboratory Standards,日本臨床検査標準協議会)は産官学よりなる臨床検査の標準化を目的として設立されたわが国の代表的機関である.1985年に発足(初代会長:小酒井望博士)し,2005年に20周年を迎え,同年4月には特定非営利活動法人(NPO)化を達成,(財)日本適合性協会(JAB)との協力体制の下,各種標準化作業などが鋭意進められている.現会長(8代目)は渡辺清明博士(国際医療福祉大学教授)で,特に専門委員会活動についてはいっそうの強化策のもと,実績の確保を図ることを命題としている.JCCLS尿検査標準化委員会は2005年現在,①尿沈渣検査法検討作業部会(丸茂健部会長),②尿試験紙法検討作業部会(筆者部会長),③尿総蛋白測定法検討作業部会(青木芳和部会長)の3部会があり,厚生労働省,日本医師会,日本臨床検査医学会,日本臨床衛生検査技師会,日本腎臓学会,日本泌尿器科学会,日本小児腎臓病学会,日本臨床化学会など10団体・8学会より専門委員の派遣を受け,さらに技師有志で構成された実行部隊によるボランティア的協力を得て,標準化の作業は着実に進んでいる.
JCCLSにおける尿検査標準化の歩み
JCCLSと尿検査標準化とのつながりは比較的古い.日臨技一般検査研究班が1980年代末,診療機関ごとにまちまちであった尿沈渣検査法の標準化案を作成し,これをわが国における標準法として検討・承認されたいとする要望がJCCLSに提示され,第一次尿沈渣検査法専門委員会(河合忠委員長)活動が1991年に発足したことに始まる.2000年4月には待望の「JCCLS尿沈渣検査法指針GP1-P3」(通称Yellow Book)を発刊するまでに成果を遂げた.一方,尿試験紙の標準化については1995年秋,日本臨床病理学会総会で折田義正大阪大学教授を座長に尿試験紙法標準化のad hoc委員会が開催されたことに始まる.開催理由は,わが国では約10社が試験紙を販売しているが,尿蛋白・糖・潜血の三大試験紙のうち後二者の1+の濃度表示がばらばらで臨床・健診(検診)の現場で混乱をきたしており,早急に手を打つべき必要があることにあった.例えば,尿糖の1+は50~250mg/dlまで5倍もの濃度のひらきがあり,単位記載法もmg/dl,g/l,%と3種類もあり,潜血試験紙も濃度,表示法にバラツキが大きかった(蛋白は幸いにも全メーカー1+=30mg/dlと統一).JCCLSでは1997年,尿試験紙測定法検討委員会(第1弾)を発足,年複数回に及ぶ委員会の決議を経て2001年7月,「JCCLS尿試験紙検査法提案指針GP3-P1」を発刊した.しかし内容といえば正しい採尿法,試験紙の正しい保管・使用法,偽陽性・偽陰性対策といった教科書的記載にとどまり,標準化からは程遠く,内外からの不満と叱責の声が少なくなかった.
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