増刊号 一線診療のための臨床検査
第II章 各論―検査編
2. 生理検査
1)心電図
土居 忠文
1
1高知大学医学部附属病院検査部
pp.1230-1232
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100273
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心電図検査の基礎
心臓は活動電位により心筋が収縮と拡張とを繰り返している.心電図はその活動電位を記録するものである.心電図検査では一般に標準12誘導を用いる.標準12誘導は,標準肢誘導(I,II,III誘導),単極肢誘導(aVR,aVL,aVF誘導)と単極胸部誘導(V1,V2,V3,V4,V5,V6誘導)とがある.I誘導は左手と右手,II誘導は左足と右手,III誘導は左足と左手の間の電位差を表す.aVR誘導は右手を関電極,左手と左足とを不関電極とし,aVL誘導は左手を関電極,右手と左足とを不関電極とし,aVF誘導は左足を関電極,右手と左手とを不関電極としている.
肢誘導と心臓との関係は図1に示すごとくであり,心筋梗塞の部位診断に役立つ.すなわち,誘導は左肩から右肩に向かって心臓の電気的変化を眺めており,心臓の側壁を見ることができる.誘導は左足から右肩に向かって心臓を眺め,誘導は左足から左肩に向かって心臓を眺めており,いずれも下壁を見ることができる.aVR誘導は右肩から心臓を眺めており,心室の特定部位を見ることができないが,心内膜を眺める誘導である.aVL誘導は左肩から心臓を眺めており,側壁を見ることができる.aVF誘導は左足から心臓を眺め,下壁を見ることができる.心筋梗塞の部位診断では,側壁梗塞は,aVL誘導に梗塞変化を認め,下壁梗塞はII,III,aVF誘導に梗塞変化を認める.
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