増刊号 一線診療のための臨床検査
第II章 各論―検査編
1. 微生物検査
5)遺伝子検査
(1)特定菌検出―細菌
飯島 義雄
1
1神戸市環境保健研究所企画情報部
pp.1213-1217
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100268
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はじめに
遺伝子配列に基づいて,細菌を検出・同定する場合,細菌の量(濃度)が鍵を握る.①)純培養されたコロニーの場合,②高濃度に特定の細菌が含まれる場合,③便,尿,血液,穿刺液などに比較的少量の細菌が含まれる場合,などが考えられる.既に純培養された細菌や高濃度に特定の細菌が含まれる場合には,DNA-DNAハイブリダイゼーションなどの比較的感度の低い検出法が利用できる.抗酸菌やレジオネラなどの同定キットが市販され,菌種の同定に利用されている.また,サルモネラや黄色ブドウ球菌などのリボソームRNAをDNAプローブで確認するキットも市販されている.
しかし,ここでは,臨床検査の現場で最も多く求められる,便,尿,血液,穿刺液などに少量含まれる細菌を検出する場合を対象として考える.しかも本号の序に記されているように,1時間以内での検出を可能にするためにはどのようなシステムを構築する必要があるか考えてみたい.
現時点では,検出感度の限界からDNAまたはRNAを増幅させる必要がある.したがって,①検体から細菌遺伝子の抽出・精製,②遺伝子の増幅,③増幅産物の検出の3ステップが求められる.ただし,遺伝子の増幅と同時に,その増幅産物の検出が可能なリアルタイムPCRを使えば2ステップで完了する.
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