増刊号 一線診療のための臨床検査
第II章 各論―検査編
1. 微生物検査
4)感受性検査
(1)希釈法
小松 方
1
1天理よろづ相談所病院臨床病理部感染症検査室
pp.1204-1208
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100265
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はじめに
薬剤感受性検査は感染症の原因菌を分離し,その分離菌に対し抗菌薬を作用させ,治療上有効と思われる抗菌薬の探索を目的として行うものである.本法は別項で述べられるディスク拡散法と同様,検体提出から検査結果を報告するまでに最低でも2~3日の検査時間を必要とする.したがって,本誌の主テーマである「初期診療において診療と並行する検査」とは厳密な意味ではいえる方法ではない.しかし,本検査は感染症治療を施行するうえで必要不可欠な方法である.
これまで大小の規模を問わず積み上げてきた抗菌薬感受性のデータベースは,初期診療において原因菌が推定された場合,最も確率の高い有効性を示す抗菌薬を選択するうえでの基礎データとなっている.メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus,MRSA)やペニシリン耐性肺炎球菌(penicillin resistant Streptococcus pneumoniae,PRSP)などのように,抗菌薬に耐性を示す多種多様な菌種が増加している今日,薬剤感受性のデータベースが感染症原因菌に対して,初期診療と並行して考慮されるデータになるといっても過言ではない.
本稿では薬剤感受性試験のうち最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration,MIC)を算出可能な希釈法について,原理方法の解説と一線診療におけるデータの活用法について概説する.
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