技術講座 病理
in situ hybridization法を利用した細菌感染症の病理診断
堤 寛
1
,
下村 龍一
1
1藤田保健衛生大学医学部病理学
pp.809-816
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100106
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新しい知見
酵素抗体法よりISH法が有利な場合:抗原抗体反応を利用する酵素抗体法と核酸同士の特異的結合とを利用してDNAあるいはRNAを証明するin situ hybridization(ISH)法とはともに病理診断に応用されて久しい.産生された直後に分泌されるため,その蛋白質産物が細胞内へほとんど貯留しないサイトカイン類を酵素抗体法で局在観察しようとすると偽陰性が多くなる.この場合,mRNAを検出するISH法が圧倒的に優れている.ACTH産生腫瘍やG-CSF産生腫瘍が代表例である.一方,病原体は異種核酸であるがゆえに,DNA検出に診断的意義が高い点が特徴といえる.また,蛋白質へ翻訳されないRNAであるリボソームRNAやEBウイルス感染細胞核内におけるEBER1の検出も多用される.腫瘍ウイルスゲノムの多くも蛋白質産物を伴わないため,免疫染色陰性,ISH陽性になりやすい.一本鎖オリゴヌクレオチドプローブを簡便かつ安価に合成できる点もISH法の利点である.
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