特集 癌の臨床検査
I 癌そのものをとらえる検査
3 癌組織産生物質"腫瘍マーカー"の検査
B.各論 20)CA125
福島 雅典
1
,
木村 英三
2
,
佐々木 寛
2
,
寺島 芳輝
2
Masanori FUKUSHIMA
1
,
Eizo KIMURA
2
,
Hiroshi SASAKI
2
,
Yoshiteru TERASHIMA
2
1愛知県がんセンター病院内科
2東京慈恵会医科大学産婦人科
pp.1401-1404
発行日 1989年10月30日
Published Date 1989/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917626
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性状
CA125は,上皮性卵巣癌でも発生頻度の高い漿液性癌の培養株を用いて作製されたモノクローナル抗体OC1251)により認識される癌関連抗原である.CA125抗原の性状は十分に解明されていないが,セファロース2Bカラムによるゲル濾過でvoid volumeに溶出するので,全分子量は200万以上と考えられる.生化学的性状としては過ヨウ素酸,グリコシダーゼ処理で抗原活性は消失せず,加熱,プロテアーゼ処理で抗原活性が減弱することから,抗原決定基は糖鎖ではなくペプチド部分に存在すると推定される2).
一方,OC125を用いた免疫組織化学的検討によって卵巣癌細胞のみでなく良性卵巣腫瘍組織,正常子宮内膜細胞,羊膜上皮などにも局在を認めており,この点に関しては癌特異性は低いといえる.なお,CA125の血中半減期については十分に解明されていないが,かなり短いものと予想される.
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