今月の主題 移植
検査と疾患—その動きと考え方・103
人工弁とそのエコー所見
今鷹 耕二
1
Kouji IMATAKA
1
1朝日生命成人病研究所臨床検査科
pp.903-913
発行日 1985年8月15日
Published Date 1985/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917489
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
弁置換術を施行したあとに,弁が正常に作動しているかどうかを調べる方法は,心エコーの発達以前は主に心音の聴取によっていた.心エコーの登場により弁自体の動きを画像として観察できることから,画期的なものと期待された.しかし,実際に種々の置換弁のエコー像を観察し,合併症を発症したときのエコーなどを検討してゆくと,必ずしも心エコー法は置換弁の機能を正確に,しかも詳しく捉えるという点で万全ではないことも明らかになってきた.心エコー法で得られた画像の解釈には置換弁と周囲組織との間の大きな音響インピーダンスの差や置換弁の方向性などについての知識が必要であり,本法の限界についてもよく知らなければならない1,2).
最近ではドップラー法や,さらにカラードップラー法などにより,置換弁の動きと心臓内の異常血流を同時に捉えることが可能となり,心エコー法の限界のいくつかを克服しつつある.人工弁の開発は日進月歩であるが,本稿では現在使用されている人工弁を紹介し,これら人工弁の心エコー法による画像について,症例をあげて解説する.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.