ベッドサイド検査法・5
髄液検査法
二宮 恒夫
1
,
渡辺 力
1
,
岩井 朝幸
1
,
広瀬 政雄
1
,
宮尾 益英
1
Tsuneo NINOMIYAO
1
,
Tsutomu WATANABE
1
,
Asayuki IWAI
1
,
Masao HIROSE
1
,
Masuhide MIYAO
1
1徳島大学医学部小児科
pp.550-557
発行日 1983年5月15日
Published Date 1983/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917443
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緒言
中枢神経組識は髄液によって保護されており,ここに生じた異常は直接髄液に反映される.そのため,髄液検査は中枢神経疾患の診断,治療効果の判定に欠くことができない.近年,生化学的物質の測定や免疫学的検査法の導入によって診断技術は一段と進歩した1).例えば感染症ではウイルス感染との鑑別や細菌の同定検査としてCPRの定量2),LDH分画3〜5),ラテックス凝集反応6),対向流免疫電気泳動7),Limulus lysate assay8),ラジオイムノアッセイ9)などが開発され,その有用性が実証されている.しかし,これらの検査は特殊な技術と装置を必要とし,一般の検査室やベッドサイドでは容易に行えない.日常検査として細胞数と分類,蛋白や糖の定性および定量,電解質の測定,細菌の塗抹培養検査が行われている.このうち細胞分類は基本的な検査にもかかわらず,計算板上で多核球か単核球かの区別にとどまっていることが多い.髄液中にも多種類の細胞があり10),詳細な分類は,診断,治療効果の判定だけでなく,疾患の病態を推定するうえに重要である.今回,一般検査のほかにベッドサイドで簡単に行える髄液細胞標本の作製方法を紹介し,検出される細胞の臨床的意義を中心に述べる.
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