技術解説
飲料水の細菌検査—経口伝染病との関係から
柳沢 文徳
1,2
1東京医歯大
2農村厚生医学研究施設
pp.1057-1062
発行日 1968年12月15日
Published Date 1968/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917260
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文化生活を営むためには,健康障害を惹起しない飲料水の確保が必要である。また,日常生活に必要な量が供給されなければならない。水質の安全性が保たれても,断水とか時間給水のようなききんにみまわれると,断水間の貯め水の水道に逆流するとか,貯め水の不浄化などが生じて不衛生な状態に陥る。
飲料水を住民に供給する最良の方法は水道給水法である。そのために,国はその普及を図らなければならぬが,41年末の厚生省の発表によれば,給水普及率は69.4%(昭和41年3月31日現在)で,オランダ97%,イギリス96%,イタリア90%で,米国は80%という欧米諸国の普及率に比較して,きわめて低率である。そして約30%の国民は,井戸水・湧出水・川水・沼水・天水などに頼っているわけである。これらの飲料水のうち,上水道はどこの国でも法律によってその水質の保全がなされている。ただし,その根拠は水道法*に基づくならである。他の飲料水は必ずしも安全性の期待されるものが少ない。
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