基礎から応用へ
血清酵素のRate assay
坂岸 良克
1
1埼玉医大・生化学
pp.28-31
発行日 1975年2月1日
Published Date 1975/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200700
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
分析化学といわず化学の特徴は分子数を基礎として物質を取り扱うことにある.つまりアボガドロ数6.023×1023は1グラム分子量(1モル)に含まれる分子数を意味し,1モル濃度の溶液中に溶けている分子数であることが化学的測定の根底をなしているといってよい.この点,酵素活性は決められた条件下で反応速度を求めて算出されるので,通常の化学的扱い方では手におえない面が少なくない.例えば良く知られているように酵素活性は酵素の分子数と1対1の対応を示さないし,pH,温度,基質濃度の違いによってかなり異なった値になる.血清酵素となると臨床化学分析では血清をそのまま試料とするので,活性化因子,阻害因子が入り混じり,まるでドブ泥の中で目的の酵素の活性を測ることになる.
最近,自動化とUV法の普及によって測定条件の一定化が容易になり,ディジタル表示も行えるので血清酵素の活性値は求めやすくなったが,同時に酵素反応そのものに対する考え方が安易に走る傾向もないとはいえない,ここでもう一度酵素及びその反応を見直し,あわせてRate assayの自動化を検討してみよう.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.