綜説
細胞診の基礎—Cytoscreenerのために
田中 昇
1
1日本赤十字社中央病院中央検査科
pp.865-872
発行日 1966年9月15日
Published Date 1966/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917045
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まえがき
1965年11月東京で開催された赤十字衛生検査技師会の「細胞診screener」の講演および,1966年5月9日より3週間にわたって行なわれた日本臨床病理学会関東支部主催「細胞診screener」養成講習会の冒頭に述べた講義の内容を基にしたものである。著者は一病理学者として,また病院の病理医(pathologist)として,ある信念のもとに病理部門において,この十数年間細胞診を実施し続け,たえず組織学とのcontrolにおいて自省しつつ訓練し,同時にscreenerを養成してきた。この間,必ずしも熱心であるとはいい得ないまでも多少なりとも得るところがあったと信じている。検出率の点からだけみても表1に示す1965年のデータはこの分野では一流と目されている癌研究所細胞診部における公表データと比較し得るレベルに達しており,かなり成果をあげていると思う。
著者の検査部門のscreenerは病理の技師5名のうち4名で,年間6000件に達する組織検査を兼ねて年間7〜8000件の細胞診を臨床とはまったく独立した立場で実施しているのが実情である。ここでは,手技,技術面にはまったく触れず,この間に得られた体験に基づき,かなりの議論の余地があろうとは思うが,平素考えていることを述べる。
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