技術解説
ブルセラ症の細菌学
柴田 重孝
1
1家畜衛生試験場
pp.529-532
発行日 1966年6月15日
Published Date 1966/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916600
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ブルセラ症とは
ブルセラ症はもともと家畜の病気で,家畜がブルセラに感染すると胎児が敗血症をおこして流産するが,無症状経過をしめして乳に長期間菌を排出する傾向がみられる。ブルセラにはウシ流産菌(Br.abortus),ブタ流産菌(Br.suis),ヒツジおよびヤギに多いマルタ熱菌(Br.mclitensis)の3菌種があり,わが国ではブタやヒツジ,ヤギのブルセラ症は少なく,したがって家畜から分離されるブルセラはウシ流産菌にかぎられているといってもよいほどである。
ヒトへの感染経路は消化器感染が多いが,このほかに接触,飛まつなどによって,皮膚や呼吸器から感染する場合も少なくない。生乳飲用の習慣のないわが国では,消化器感染よりもむしろ皮膚あるいは呼吸器感染が多いように思われる。
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