研究と資料
ブルセラ菌を以てする米子地方人血清の凝集反應檢査成績
高木 篤
1
,
加納 福由
1
,
伊藤 義廣
2
1米子醫學專門學校細菌學教室
2鳥取縣立米子細菌檢査所
pp.345-349
発行日 1948年10月25日
Published Date 1948/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200356
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まえがき
わが國にブルセラ症の存在することは,約10年位前から特に注意され始め,今日迄に約30例の症例報告が見られる。わが國に於ける症例は牛型のバング流産菌によるものが最も多いが,山羊型及び豚型の菌によるものも報告されて居る。マルタ熱は外國のものであるとして等閑視することは許されない。
わが國に於いて,多數人の血清につい,てブルセラ菌による凝集反應を檢査した從來の文獻を見ると,谷口1)は,京都府下の牧場20ケ所の牧夫,牛乳處理者等116名の血清について,100倍陽性者2名25倍陽性者6名を見出し,100倍陽性者は府下に患者が出てゐるところから,バング菌感染の疑が濃厚であるとし,千葉2)は京都府下5小學校の7〜15歳の兒童2029名の健康血清につき,バングの菌に對する凝集反應を檢査し,3200倍陽性者1名を得た。この兒童は村に於て,牛,山羊の乳汁を口にした事無く,村内には牧場其の他はないが,ただ8歳の時仔牛を飼つたことがあつたと言い,勝沼,岡田兩氏3)は,羊型波状熱3例を中部地方に發見したが,201名の外來患者の血清を調査して凝集反應陽性のその5名を得たと報告してゐる。
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