講座 検査技術者のための臨床病理学講座16
血清検査(2)—免疫血液学的検査とその臨床
河合 忠
1,2
1中央鉄道病院臨床検査科
2順天堂大学臨床病理学教室
pp.916-918
発行日 1965年10月15日
Published Date 1965/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916592
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1900年LandsteinerによってABO式血液型が発見されてから赤血球について色々の異った血液型が発見されたが,その主なものはABO,MN,P,Rh,Lutheran,Kell,Lewis,Duffy,Kiddの9種類である。したがって,赤血球の表面には多数の,異った抗原性をもつ血液型物質が分布しているわけである。これらのうち,自然抗体(生れつきもっている抗体)として存在するのはABO式に関するもので,他の血液型抗体はすべて免疫抗体としてあらわれ,過去の輸血,妊娠などによって免疫された場合にのみ出現する。また,血液型抗体はその反応態度から完全抗体(別名,定型抗体,二価抗体,食塩液凝集素,など)と不完全抗体(別名,非定型抗体,一価抗体,アルブミン凝集素,など)にわけられる。完全抗体に含まれるのは抗-A,抗-B,抗-M,抗-N,抗-P,抗-Lea,があり,他の血液型抗体は不完全抗体である。不完全抗体は赤血球と反応して赤血球凝集を起す場合,特殊な条件を必要とするので,それらの抗体を検出するのに特別な方法(高タンパク法,酵素法,クームス法,など)を用いなければならない。
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