特集 血液検査の問題点
21 LE細胞試験の問題点
山口 潜
1
1東大上田内科
pp.998-1001
発行日 1968年12月1日
Published Date 1968/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916559
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LE細胞現象
LE細胞現象(LE cell phenomenon)は,Hargravesらによる記載1)(1948)以来多くの検討が加えられ,LE細胞検出のための検査法,すなわちLE細胞試験(LE cell test)は,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus,以下SLE)の臨床検査法として,今日なお必要不可欠である。LE細胞が核物質の食喰像と老えられることから,本現象の発見はSLEにおける抗核因子の広範な研究の発端となり,また従来顔面の蝶形発疹(butterfly rash)を主要徴候と考えられていたSLEにも,これを欠く"無疹型"がかなりの数に存在することが,LE細胞試験陽性例の検討から明らかになってきた。LE細胞の検出法は以前にはLE試験(LE test)とよばれていたが,近年,Hyland社から核蛋白のラテックス結合反応試薬として"LE test"という名の試薬が市販されるようになり,まぎらわしいので"LE細胞試験"(LE cell test)と正確によぶほうがよい。
LE細胞は,患者血清中にあるLE細胞因子が試験管内で白血球(食喰球)に作用し,その一部は崩壊して核物質を主とする均一無構造の球状体となって他の貧喰球に食喰されてできた細胞で,1つの環境の中で,ある好中球は崩壊し,ある好中球はこの崩壊物質を貧喰するという奇妙な現象の所産である。
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