入門講座 細菌
指示薬の概念と細菌学領域におけるその利用そのⅢ—細菌学領域におけるpH指示薬の応用例
橋本 雅一
1
1東京医科歯科大医学部微生物学
pp.352
発行日 1968年5月15日
Published Date 1968/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916387
- 有料閲覧
- 文献概要
1.培地pHの調整
正確には電気的方法(pH meter)を使うか,比色計(comparator)を用いるが,特別な場合を除いて培地の調整にはふつう±0.2pH単位の誤差が許されるので,pH試験紙で十分間に合う。しかし,目的とする培地のpHいかんによって,そのpHで最も鋭敏に反応する変色域をもつ指示薬を選択することが必要である。たとえば,培地のpHを7.2〜7.4に調整したいときには,標準表でこの部分が変色域のほぼ中央に位置しているBTBを用いるべきであるし,pH8.0〜8.2に合わせたいときには,この部分が中央部にあるPRが用いられることとなる。この場合,pHの測定には外部指示法を用いるのが原則である。すなわち,適当なpH試験紙の小片をきれいにぬぐったピンセットでつまみ,取出した培地液の少量をこの小片につけて濡らし,しばらくしてからその色調の変化を標準比色表の色調と比較する。
培地の多くは調整前では酸性(6.0〜6.4)なので,アルカリ性にするには10%炭酸ナトリウム水溶液を少しずつ加えて,pHの変動を観察しながら所要のpHに調整する。なお,酸性にするには工0%酢酸水溶液を用いる。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.