入門講座 血清
梅毒の血清学的検査法Ⅲ—補体結合反応—緒方法—
松橋 直
1
1東大医学部血清学
pp.351
発行日 1968年5月15日
Published Date 1968/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916386
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Wassermannが梅毒の血清学的検査法を創案したのは,まさにこの補体結合反店であった。1906年のことである。それは,Bordet-Gengou(ボルデージャングー)が確立した補体結合反応を応用し,Treponema Pallidum(TP)が多数検出される先天梅毒児の肝臓から,TPの抗原有効成分の水抽出液(これは前述のように誤りで,カルジオライピンなどの脂質であった)を抗原として,梅毒患者血清との間で反応させたものであった。そのため,この梅毒の補体結合反応をWassermann反応あるいはBordet-Wassermann反応とよんでいる。
この反応系の溶血系以外には,抗体,補体,抗原の3因子があるが,梅毒の抗体の消長をみるために,種々の工夫が加えられてきている。抗体(梅毒患者血清)の量を知るため2倍連続希釈する抗体減量法(Kolmer法,ドイツ国定法など),抗体の量が多いと補体がより多く結合することを利用した補体増量法(Browing法,微研法など),抗原と抗体の最適比をうまくつかむことを利用する抗原減量法(緒方法など)に大別されている。わが国でもっぱらもちいられているのは緒方法である。
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