研究
薬剤感性検査直接法の検討
水谷 昭夫
1
,
鷲津 良道
1
,
中本 学
2
1京都府立医大臨床検査部
2大阪市立大白羽外科教室
pp.853-859
発行日 1962年12月15日
Published Date 1962/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906052
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緒言
近年抗生物質が乱用されるにしたがって,病原菌のなかに抗生物質耐性株が著しく増加して来たことは衆知の事実であり,特にブドウ球菌感染症や細菌性赤痢などは,その耐性株増加のため治療に困難を感じている現状である。いうまでもなく,感染症の治療にあたっては,まず,起炎菌の種類,生物学的性状,特に化学療法剤に対する感受性の有無を検し,臨床家は,選び出された薬剤の作用型式,血中濃度,病巣への移行性,患者の一般状態などを考慮に入れて,適当な薬剤を選出して,投与量投与方法を決定しなくてはならない。現在ではほとんどすべての検査室が,病的材料から起炎菌を分離培養し,これを同定し,その病原菌に対して感受性テストを施行するという,いわゆる間接法感受性検査を行なっているために,臨床医家に結果がとどくには最少43時間,普通24×(4〜5)時間の時日を要している現状である。
もちろん,この間接法感受性検査の結果は治療効果をあげるための最も重要な指標として認められているわけであるが,この方法が絶対的なものであるとは考えられず,まだ改良の余地が残されていると思うし,臨床医家は細菌学的検査の結果が報告されるまでの間患者を放置しておくわけにはいかない。
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