グラフ
真菌鑑別における注意すべき所見
川北 祐幸
1
1順天堂大学・細菌学
pp.953-960
発行日 1965年11月15日
Published Date 1965/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915811
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
真菌の同定は,肉眼的集落の検査,顕微鏡的形態の検査および生化学的検査が基礎になって行なわれている。肉眼的集落は,酵母様真菌以外では,大略の見当をつけるのに役立ち,さらに顕微鏡的精査により,同定が行なわれ,酵母様真菌では,まず顕微鏡的形態にはじまり生化学検査で最終的同定が行なわれる。ここでは皮膚糸状菌をのぞき,わが国で真菌症として,しばしば話題になる菌を中心にその同定鑑別時に注意しなければならないことを述べてみよう。
まず第一に注意することは,自然界にこれらの菌の同属が非常に多く存在し,検体の汚染,無菌操作の不手際などからすぐに培地上に生えてくることがある。次は,真菌の胞子を不用意にあつかうと,孵卵器,あるいは実験室が汚れ,これらの汚染がたえずおこるようになることである。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.