特集 塗抹検査
総論
塗抹検査について
高橋 昭三
1
1東京大学医学部細菌学教室
pp.773-775
発行日 1965年9月15日
Published Date 1965/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915800
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塗抹検査の意義
顕微鏡的形態学的検査,または単に形態学的検査の一つに塗抹検査がある。一般に,形態学的検査は,眼で結果をよむものであって,人間の訓練された感覚によって判定されるものである。その結果は,計測機器,たとえば光電比色計などを介せずに,判断される。必然的に,結果は陽性,陰性の二つのいづれかになることが多く,数字で表現されることは少い。
ここで得られた結果は,次の段階の検査を右または左にむけるために利用され,時には,直接に患者の病名を左右することさえある。また,ここで陽性という結果の生じた場合は,眼でみたものである以上,動かしがたいものとなることが多い。たとえば,癌であるとか,結核菌であるとか,白血病であるとかが,決定されることが多い。これは形態学の特色でもある。これほど大切なものであるが,経験的要素に依存していることが多いのも事実である。
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