カラーグラフ
氷結切片標本
榎本 真
1
,
須山 貞子
,
石田 康子
,
山野 美恵子
,
中静 洋子
,
和田 朋子
,
萱野 幸子
1東大病院中央検査部
pp.184-185
発行日 1965年3月15日
Published Date 1965/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915726
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固定した標本を氷結し薄切する方法は操作が簡単で速やかにできるため,手術中の迅速診断などにひろく愛用されている。しかしなにぶん短時間に大急ぎで標本を作らなければならないので,立派なものを作るのは案外むずかしい。ホルマリンによる加温固定は組織を必要以上に収縮・硬化し,また切片も厚目のため自然の状態とはかなりかけはなれ,かつ見にくいものとなる。したがって検鏡して所見をとる病理の専門医はこの標本の特徴になれることが必要であり,また手術材料をおくる外科医にも氷結切片検査法の価値と限界をよく理解してもらわねばならない。
われわれのところでは5分以内に標本を作ることが要請されているので,その方法として試験管に組織片とホルマリンを入れて煮沸固定(1分位),氷結による薄切(10μ内外),DETEC (MERCK社)液中で5秒程切片を透化し,しわをのばし,ヘマトキシリンによる単染色(必要に応じ,エオジンとの重染色)をおこない,すくいあげた切片はグリセリンで封入している。あたりまえのことだが,きずのないよく研いだ刀を用い,一つ一つの操作に細心の注意をはらうことが良い標本を作るコツと思う。
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