特集 出血傾向のLaboratory Diagnosis
Ⅵ.出血性素因の新しい検査法と問題点
3.血小板機能検査法
山崎 博男
1
1東京都臨床医学総合研究所循環器研究部
pp.1403-1409
発行日 1980年11月1日
Published Date 1980/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915637
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
血小板の機能
血小板は生体の出血に対する防衛細胞である.血管に傷が付くと,直ちにその部分に血小板が粘着することから止血機転が始まる.粘着した血小板から細胞内小器官である特殊顆粒に含まれているアデノシン二リン酸(ADP),セロトニン,カテコールアミンなどが放出される.主として放出されたADPが周囲の流血中血小板に働き,この血小板が凝集し血小板塊は大きくなる.すなわち血小板血栓ができる.一方血管傷害によって引き金を引かれた血液凝固系も活動を始め,血小板血栓によって血流をせき止められた局所で活性凝固因子の濃度が高まり,フィブリンが析出し止血機転が完成してゆく.この過程で血管壁内成分中でコラゲンが血小板粘着に当たり重要視されるが,粘着の機構にはなお分からぬ部分が多い.粘着に当たって血漿中のvon Willebrand因子や,血小板膜糖蛋白Ⅰが必要であると考えられている.また血小板膜表面荷電の意義も考慮されている.
血小板以外の組織や物質に血小板が付着する現象が粘着であり,血小板同士が付着する現象が凝集と呼ばれるが,凝集の真の機構にもまだ分からぬ点が多く,また粘着凝集はあい伴って起こることが多く,この点臨床検査上の成績にも問題が起こる場合がある.凝集には膜糖蛋白Ⅱが関係すると考えられている.粘着凝集には血小板の放出現象が密接に関与している.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.